あなたと車、どんな物語がありますか?こんにちは、せろりんです。
世の中にはマツコの知らない世界がまだまだたくさんありますね。マツコが知らないということはみなさんが知らないということです。今日はみなさんが知らない自作スピーカーの世界を紹介します(知ってる人もいるかも)
自作スピーカーといっても音が鳴る部分は作るのがムズいので箱だけ作るというのがふつうです。
具体的に言うと塩ビパイプでバックロードホーンを作ります。何をどうやって作るのか見ていきましょう。
これはスピーカーですね。
スピーカーというと思い浮かぶのは箱状ですが、直接音を出しているのはこのパーツです。
スピーカーユニットという名前です。
スピーカーを分解したことがある人はわかるかもしれませんが、スピーカーユニットを箱から外した状態で鳴らすとスカスカの音になりますよね。なぜでしょう?
実はスピーカーユニットは、前から音が出ているのと同時に位相が違う音が後ろからも音が出ています。そのため裸で音を鳴らすと前から出てきた音波と後ろから出た音波が干渉して音が消えてしまいます。この干渉は特に低音において顕著なので、裸で鳴らすと低音が全部消えてスッカスカの音になってしまうわけです。
スッカスカの音になることを防ぐために箱が必要になります。スピーカーユニットみたいなゴリゴリの精密機器・工業製品を自分の力でつくるのはキツイので(作る人もいなくはないですが)、今回はスピーカーユニットは既製品を使って、箱のほうを自作します。
箱を自作すると設計によって好きな音やサイズやデザインのものを作ることが出来るのでいろいろと捗ります。
箱といってもどういうものをつくれば良いんでしょうか。見ていきましょう。
スピーカーユニットの後ろから出て来る音が邪魔なら、スピーカーユニットを箱に装着して後ろの音波を封じ込めちゃえばいいじゃん、という発想で生まれたのが密閉型スピーカーです。
極めて単純な発想ですが、簡単に作れてコストが安いので市販品によく使われる方式です。
おれたちがヤマダに行き、何も考えずに無作為にスピーカーを10台買ったとしたら、そのうち半分くらいはこの方式です。
正確な低音再生が売りで、まあ、言ってしまえば言われたことだけやる真面目系クズタイプ、おれたちのことです。
市販品によく採用されているくらいなので、それだけ良い方式だということなんですが、開放感のない詰まったような音だ主張する人間もたくさんいます。
そんで密閉型とか格好をつけて言っていますが、要するにただの箱です。ただの箱っていうのも芸がないです。工夫しましょう。
工夫しました。こういうのをバスレフ型スピーカーといいます。
箱の一部に穴をあけて管を取り付けたことによってヘルムホルツ共鳴によって低音域が増幅されます。ググれ。
スピーカーユニットの後ろから出てくる低音を有効活用しているので豊かな低音が特徴です。
さらに設計が容易で構造もシンプルなので密閉型と並んで市販品によく採用されている方式です。真面目系クズのおれたちが何も考えずにスピーカーを10台買ってきたとして、半分は密閉型でもう半分はこのバスレフ型です。
筐体の前か後ろに謎の穴が開いているスピーカーを見たことがあると思いますが、それがバスレフ型スピーカーです。
バスレフ型は低音も高音もちゃんとこなす優等生タイプです。文句はないんですが、優等生ってなんかきっしょいですね。きっしょいし市販のと同じものをわざわざ作っても勝ち目が薄いのでもう少し別の方式の箱を考えましょう。
スピーカーの後ろにラッパみたいなのをつけてみました。
こういうのをバックロードホーン型スピーカーといいます。
ラッパによって後ろから出てくる低音を前の方に放出しよう、みたいな方式です。
でも、こんなグニャグニャな形だとちょっと作るのキツいですよね。自立しないし。自立は大切です。自立しろ!
工夫しました。
は?なんだこれ?と思うかもしれませんが、原理はさっきのバックロードホーン方式と同じらしいです。少しずつ音の通り道が広がっていっていますよね。これでさっきのラッパと同じ動きをするらしいです。
折れ曲がってるしさっきのと違って断面積の変化も不連続的だし、胡散くせえなーって感じはしますが、自作スピーカー業界ではこれもアリということになっています。細かいことは気にしないことにしましょう。
バックロードホーン方式は見ての通り構造が複雑で設計も大変なので、市販品ではほぼ採用されない型です。手に入れたいなら自作するか、市販の自作キットを購入するか、某オクや某カリで誰かが自作したものを購入するのが常套手段です。
これの良いところは、下のホーンから低音が湧くように出てくるので、あまり低音を重視していないスピーカーユニットから低音を引き出せることです。そういうスピーカーユニットは振動板が軽く、普通のスピーカーユニットよりも軽快に鳴ってくるとされています。
特殊なスピーカーユニットが使えて箱の動作原理も異端なので良くも悪くも市販のスピーカーからは絶対出ないような音がするとされています。良い音かどうかは賛否が激しく別れるところなんですが個性で言ったらピカイチです。
癖があって変人だけど友達になったら楽しいタイプ、いいですね。こいつを作りましょう。
ちなみにおれが過去につくったバックロードホーンがこれです。
上はバスレフ型の市販品なんですが、下が例のバックロードです。
今でも実家にあるんですが、重くてアパートまで持っていけないのと、アパートには置き場所がないので実家に置いてあります。この前、家族に邪魔だから捨てていい?と言われてゾッとしました。家族って怖いですね。
さて、スピーカーの箱を作るとして、箱の素材をどうするかが問題です。
自作スピーカーの9割や、市販の高級スピーカーのほぼ全ては木で作られています。前回の自作も木でした。つまんないので木は無しにしましょう。
木はダメということになったのでホムセンに行って塩ビパイプを買ってきました。3本ありますが、これで1本のスピーカーを作ります。
写ってないですがペアで作るのでこの倍の数のパイプがあります。ほかにも細々としたエルボだとか継手だとかいろいろ買ってきました。
えっ、そんな下水管みたいなやつでスピーカー作るの?って思うかもしれませんが、塩ビパイプは自作業界ではわりと普通に使われる素材です。塩ビパイプスピーカーはタモリ倶楽部でも紹介されたことがあるんですよ。マツコは知らなくてもタモリは知っているわけです。
断面図です。こんな感じで、管を入れ子状に組み合わせることで徐々に広がる長い音道を作ってバックロードホーン型と同じ動作を狙います。
ざっとググった範囲では同じような方式は見つからなかったので、もしかしたら世界初かもしれませんね。同軸バックロードホーン型とか、リングダクトバックロードホーンとでも名付けましょうか。いやリングダクトではないですね。もう1本パイプ増やすとリングダクトみたいになるので面白いと思うんですがこれ以上太い塩ビ管はバカ高いのでやめます。
スピーカーを作るときって、大抵はちゃんと机上の計算をして設計するんですが、塩ビパイプで作る場合は近所で売っているパイプの太さの種類がかなり限られてくるので設計しても無駄だなと思ってそういうのはしませんでした。売り場で売ってる太さのパイプの中から勘でちょうどいいものを何本か選んで組み合わせました。
一番細い管の先端をこうやって切っていきます。ちゃんとした工具がないので大変です。
家にあった安物のひん曲がったノコギリで必死こいて切りますが、奮戦虚しくグニャグニャです。良いノコギリを買ったほうがいいことがわかりました。
この穴は一番細い管を通ってきた音を二番目に細い管に通すための穴です。
これは一番細い管と二番目に細い管を繋いで固定するための部品です。
これも切って組み合わせます。
この後もうちょっと形を整えて切断面のバリをとったりヤスリを掛けたりします。
どういう構造になってるのかみなさんが理解してくれるかどうかは知らないんですが、図で表すとこの部分の機構を作っています。
わかんなきゃわかんないで、なんかやってるな、と思っていただければ良いです。
百均のプラ容器の蓋に円を描いて、その形にカットします。
それをさっきのパーツの底につけます。
グルーガンで接着します。
グルーガンは熱で溶かして使う接着剤です。すぐ固まるし密閉性があるからなにかと使えます。今回も大活躍でした。
ダイソーで買ったフェルトです。吸音材として使います。
ISW11HTなど、見えないところを赤くするのはかっこいいので吸音材も赤にします。音にめっちゃこだわる人は音響用のフェルトやグラスウールを買っても良いと思います。
グラスウールは使うと皮膚の弱い部分が痒くなって死亡するのでもう二度と使いたくないし、フェルトなんてどれでも一緒だろ、ということで百均フェルトを採用しました。
吸音材を貼ります。
吸音材は少ないと変な音がしますし、多いと箱の良さが殺されてしまうので、適当な部位に適量貼りましょう。もっともこの箱に良さがあるのかどうかは不明です。
どこにどの程度貼り付けるかは経験と勘ですが、おれには経験も勘もないので、とりあえずセオリー通り音道が折れ曲がる部分に1センチくらい貼ります。
ピュアオーディオ人間が発狂する雑さでグルースティックの切れ端を管と管の隙間に入れて、さらにグルーガンで固定します。
固定しました。こうやって管を固定します。素人丸出しですがこれ以上の固定方法は思いつかなかったのでしょうがないですね。
3Dプリンターとか使って綺麗に固定出来たらベストなんですが。あと電動ドリルでもあれば穴を開けてネジを固定するというのもアリなんですが、3Dプリンタもドリルもやる気もないのでしょうがないです。
意外とこの貧乏くさい方法でも強固かつ正確に固定できます。
ユニットにケーブルをつけます。ケーブルにはこだわらない宗派なのでいらなくなったLANケーブルの中の線を使いました(ド ン !)。ケーブルにこだわる宗派の人大激怒ですが、大激怒しといてください。
ちなみに今回自ら志願してスピーカーユニットのドナーになってくれたのはZ120BWというLogicool製の1500円くらいの密閉型アクティブスピーカーです。こいつをドナドナしてスピーカーユニットを流用します。
Z120BWは低音はぜんぜん出ないんですが、1500円のわりには高音がメチャクチャ綺麗に出てくれるので結構気に入ってるスピーカーです。
気に入っていたんですが自ら志願してくれたのでこいつを使うことにします。5cmフルレンジユニットです。
塩ビ管でできた、なんて名前なのかわからないパーツにスピーカーユニットを装着します。そんで隙間をグルーガンで埋めます。
スピーカーユニットの近くには吸音材を多めに貼り付けるのがセオリーです。
ダイソーのフェルトってあんまり吸音してくれなさそうなのでいろんなところにベタベタ貼り付けたほうが良い結果になりそうです。
こうやってスピーカーユニットをくっつけた部品を管にグルーガンで接着します。グルーガンは弱い接着剤なので外そうと思えば結構簡単に外れます。
そういう接着剤をあえて使うことでスピーカーユニットを別のものに交換する際めんどくさくない設計にしています、みたいに偉そうに言っていますが、ようはちゃんとした接着剤を買ってくるのがめんどくさいということです。
ケーブルはユニットを装着している部品の一部に穴をあけてそこから出しています。
下の音の出口(開口部という)にエルボをつけてちょっと管楽器みたいな見た目にしました。紹介していない手順が結構ありますが想像してください。これで完成です。
この状態だと自立しないので自立できるようなスタンドを作りたいですが、どっかに立てかけておけばとりあえずは問題ないので今度にします。自立は必ずしもしなくても良いということです。
見ての通りダッサいです。貧乏臭くて家に置きたくないですね。
おれが女だったらこれがおいてある男の家には遊びに行きたくありません。
塗装したり突き板で木目調にしたり、見た目をもう少しマシにする方法はありますが、おれはこの感じ嫌いじゃないのでしばらくは素のデザインで楽しみます。
Fostexのアンプ、AP05です。小さい。
繋いで鳴らします。
5cmユニットのくせに元からは想像できないほど低音が出ています。下の開口部に耳を当てるとたしかにズコズコと低音が出ていて、ホーンが機能していることがわかります。
Z120BWについていた時は低音はてんでダメで、中音あたりも密閉型特有の詰まりみたいなのがあったんですが、この箱の場合は中音も生き生きとしています。
しかしよく聞くと変な音がしないでもなく「塩ビ管にから音出てるなー」って感じの微妙なボワつきというか、響きみたいなのが微かにあります。箱鳴りっていうんでしょうか。設計を見直すか、もう1回分解して吸音材の量を増やすべきなんでしょうね。
あと金をケチってVU管という壁が薄いパイプを使ったのが良くなかったですね。壁が厚いVP管を使うとよかったですね。
それともう一つしくじったのは、スピーカーユニットの位置が座ったときの自分の耳の位置より高くなってしまったことです。スピーカーユニットを上向きに装着したので、ユニットから出る音が直接耳に入ってこなくて微妙に高音が篭っているように聞こえます。結構致命的ですね。
立って聞くとクリアな音になるんですが、いつも立って聞くわけにはいかないので、スピーカーユニットを上に向けるのをやめてエルボ買ってきて横向きに着けると良いかなと思いました。せっかく小口径フルレンジ一発なのに定位感がイマイチなのはそのせいでしょう。
そういうわけで荒削りながらも豪快な音なので、ボーカルのない曲のほうが向いてるかなと思います。
いろいろ書きましたが元が1500円のアクティヴスピーカーのユニットであることを考えるとなかなかの低音と音場感だと思います。
何より素晴らしいのが、管状なので置き場所に困らない点です。
バックロードホーンって本格的なのを作ろうとするとどうしても箱がでかくなってしまうんですが、こいつは直径6センチのパイプだからちょっとした隙間に置けます。このサイズで3メートルの音道を稼いでいるのは凄いです(ちゃんと長さのぶんだけ機能しているのかは謎です)。ただもちろん音道の断面積的に言って超小口径のユニットでないと使えない箱ではあります。
興味がある方は試行錯誤して似たようなスピーカーを作ってみてはいかがですか。
ちなみに使用した材料です。断りがない限り2個ずつ購入しました。
- ダイソーフェルト(1個)
- 25ミリVP(肉厚)管1メートル
- 40ミリVU(肉薄)管1メートル
- 65ミリVU管1メートル
- VU継手90度エルボ65ミリ用(開口部用)
- VP管用インクリーザ50ミリから25ミリ(空気室用)
- VU継手バルブソケット50ミリ用(ユニット装着部)
- TS継手ソケット30ミリから25ミリ(25ミリVPと30ミリVUの接合用)
しめて5000円くらいです。安くはないですね。
どこでも同じ材料が買えるから再現性があるのが塩ビ管の良さですね。同じの作りたいなんて人間はいないと思いますが、参考にしてください。木でバスレフ作れば同じ値段でもっといい音になったかもしれないぞというツッコミは無しです。
せろりんでした。
(2017年10月3日追記)
これの記事書いた1ヶ月後にいろいろ改造したのでその話をいまさら追記します。
さすがにユニットが上向いてんのはアニメとか見る時音声聞こえにくくてイマイチだなーと思ったのでユニット周りを変えました。
FOSTEXのP800Kという8cmフルレンジユニットです。Amazonで1個1300円くらいですね。2個なので2600円です。
そんで合う90度エルボを買ってきてこうやって付けました。接着はグルーガン、ユニットを斜めにしているのはユニットを斜めに貼り付けてるJBLのスピーカーってかっこいいよねと思ったからです。
これは見た目的にも音的にも大成功です。まずトータル1000円のアクティブスピーカーのスピーカーユニットというのはさすがにいくらなんでも出来がよろしくないので、ある程度まともなユニットになって音の質がめっちゃ上がりました。ボーカルもバッチリです。
そんで口径がでかくなったからか低音がめっちゃ豊かになりました。音道の断面積を考えると8cmユニットはちょっとでかすぎなのでやばいかなーと思ったんですが全然問題無しです。中高音がでかくなって低音もでかくなったので良いことづくめですね(ただ音量がでかくなっただけな気もします)
8cmユニットはわりと安いのでほかにもいろいろ付け変えてみたいと思います。
それじゃあさようなら。せろりんでした。
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