芋の露 連山影を 正しうす

高校1年生だったおれは、国語の教科書に載っていたこの俳句を見て、これはおれの故郷の山梨のことを詠んだ句に違いないと密かに確信した。芋とは、きっと甲斐市で盛んに栽培されている八幡芋という品種の里芋のことだ。晩秋の冷ややかな朝、里芋の大きな葉に朝露が溜まっている後ろで、朝日を浴びた南アルプスの連峰が、まるで、厳かに冬支度をしているかのようだ・・・・・。これはその情景を詠んだ句に違いない。直感的にそう思った。

調べてみると、この句を詠んだ飯田蛇笏という俳人は、本当に山梨の人だった!俳句で「花」と言えば桜のことを指すのと同じように、「芋」というのも俳句の世界では里芋という解釈をするのが普通らしい。文芸の事などまったくわからないおれが、十七音を見ただけでここまで想像することができたのは、おれに天才的な感受性があったから、では無いはずだ。おれはこの句の光景をときどき見ていたのだ。

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