おは!せろりんです。
せろりんといえば自作厨です。自作スピーカー、自作PC、自作ピザ窯などなど、自作するのが好きです。自炊厨でもあります。自分でモノを作るのって楽しいし、DIYを通してなにか得意なことが1つ増えるのって素晴らしくないですか。
どっこい市販の工業製品はたいてい完璧です。プロが設計した製品をプロが製造するんだから、素人が片手間で自作したものより優れているに決まっています。素人が入り込む余地があるのは、スピーカーとかPCとか、ごく限られた分野だけです。
でも自分で作れるかもしれないものはできるだけ自分で作りたいじゃないですか。なんてったって我が家には3Dプリンタがあります。形だけであれば、プラ製品ならなんだって作れます。てことで身近なモノをイチから設計して、それを3Dプリントしてみるシリーズ第一弾、S字フック編です。
なぜか無くなるS字フック
一人暮らししていると「なぜか無くなるモノ」って結構ありますよね。三大「なぜか無くなるモノ」言えますか。靴下、ハンガー、そしてS字フックです。言えましたか。

どうだビビったか、この通り我が家ではS字フックを死ぬほど使います。これがおれの机です。ちゃんと決まった場所に片付けなさいって何回も言われて育ちましたが、おれは頻繁に使うものはそのへんにぶら下げておかないと気がすまない性格です。
さてS字フックにハンガーに靴下って、気づくと何故か減っていたり、あるいは需要に対して数が足りなくなっていたりするので、定期的に店で買わないといけません。めんどいし精神的に微妙です。
ところで我が家には、モノが無限に湧き出てくる3Dプリンタというひみつ道具があります。靴下は布製だしハンガーはデカいから3Dプリンタじゃ作れませんが、S字フックならいけそうだからいっちゃえばいいじゃんという話です。

我が家のS字フックです。大きさも形状もいろいろです。材質は、金属の骨格に樹脂の被膜がしてあるもの、金属むき出しのもの、全部プラスチックでできているもの、この3種類が主流です。
プラと金属なら金属のほうが強いに決まっているんですが、うちの3Dプリンタはプラスチックしか出力できないので全プラでいきます。
7セグの2は全然ダメ

S字フックなんてSみたいな形してりゃなんでも一緒だろということで雑に設計します。まずはこういった平面図を書きます。マジでなんも考えずに設計しています。

次に、押し出しという操作をして立体にしていきます。実は3Dプリンタを買って初めて設計したのがこいつです。3D CADは難しいって言われがちですがこの程度ならワンパンです。

そんで3Dプリンタにデータ移してポチッと印刷開始を押して20分くらい待てば完成。ちょっと寸法ミスって小さくなってしまいました。

Kaizenしました。

でニッパーくらいなら余裕で吊るせるわけですが、強度に若干の不安が残ります。で冷静に考えてみると、赤い線でなぞった部分は必ずしも曲げる必要はないですよね。斜めの線を1本引っ張っておけば成立するはずです。
こういう7セグ(デジタル時計の文字)の2みたいな形状だと矢印で示した90°曲がっている部分に力がかかって強度的に微妙です。

軽い物体なら吊るせるものの、重い物体はこの通りです。フックがグニャグニャビヨーンと歪んでしまって心配です。フックの端のほうで物体を支えているというのも心配なところです。ちょっとした衝撃で物体が外れて落ちてしまいそうです。あと構造が複雑なぶんだけ材料も無駄に使っている気がします。量産には向きません。
7セグの2みたいな形状のS字フックはダメです。こんなこと考えればわかりそうなものですが、なんでこんな簡単なことに設計時に気づかなかったのか自分でも謎です。
シンプルなほうが強いぞ

再設計したのが下の奴です。だいぶシンプルな形状になりました。スズキのロゴみたいですね、やっちゃえ!

シンプルなだけに強いらしく、2.5キロのおもりも余裕で吊るせます。たぶん5キロでも大丈夫だと思います。 シンプルな方が強い、なんかの寓話みたいですね。 ちょっと構造を変えただけでこんなに強くなるとは思いませんでした。
こいつにも問題点は無くはないです。PLA樹脂という硬いプラスチックを使っているので角を触ると痛いです。怪我をしそうです。
角を丸めるぞ!

角を丸めるぞ!角を丸めました。いよいよS字フックっぽくなってきました。丸めれば強度も上がるかな、と思ったんですがそこまで変わらない気がします。耐久性に関しては試験をしてみないとわからないんですが、実験するのがかったるく、ちょっとやる気が起きません。
でもまあ正直これは傑作です。市販のプラ製S字フックと比べても使い勝手に差がありません。しかもこいつは印刷しやすい形状ですので量産が容易です。これで完成でいい気がします

さっきので完成でいいような気もしますが、せっかくなので角を完全に丸めて、さらに矢印で示したところを太くしてみました。市販品ってなぜか端が太くなっているんですよね。なんでそうしているのかはわかりませんが、とりあえず真似してみました。
これは執筆日に作ったんですが、今日で3Dプリンタを購入して1週間になります。CADの操作技術も上がってきて、こういう複雑な形も楽勝で作れるようになってきました。
ちなみにこいつは3Dプリンタでは作るのが難しい形状です。設定をいろいろいじってやらないと作れませんし、かろうじて印刷できても、表面が荒いところが結構出ます。量産には向きません。
3Dプリンタって、ボタンをポチッでなんでも作れる魔法の道具のというイメージがありますが、そうでもありません。複雑な形状だと出力するのがとても難しいですし、作ることが不可能な立体もあります。出力する樹脂によっても設定をいろいろ試行錯誤する必要があります。3Dプリンタは結構職人芸的なところがあります。知識だけでなく経験もモノを言います。

市販品です。端がちょっと太くなってますよね。
市販品を真似て端が太いものを印刷して実際に使ってみたんですが、効果は不明です。むしろフックを取り外すときにひっかかって邪魔な気すらします。
市販品の端がちょっと太くなっている理由は、プラ製の場合はデザイン的な問題なんじゃないでしょうか。端に何か無いと、見た目がかなりさっぱりしてしまい、インテリア的にイマイチな印象を受けます。実用的な意味は、おれが思いつかないだけかもしれませんが、そんなにない気がします。わかる方がいらっしゃいましたらコメントください。どっこいこれが金属製のS字フックになってくるとだいぶ話が変わってきます。

金属製のS字フックは、端っこになんらかの処理をしないと、端で怪我をしたり、モノを傷つけてしまったりしてしまうんですよね。だからゴム製のキャップが付いているんだと思います。キャップを外したのが一番奥のやつです。怪我しそうです。もちろん怪我をしないような表面処理を施した上でキャップを付けない金属製S字フックもたくさん売ってます。
あと、ゴムでキャップをすることで、画像のように机に引っ掛けておくという使い方もできます。プラ製だと摩擦が弱いので滑り落ちてしまいます。
プラ製だと端を太くする意味はあんまりなさそうですが、金属製だとキャップがあったほうが絶対いいですよね。
そんで金属製S字フックにも、金属に焼きが入っているものと、そうではなく簡単にぐにゃぐにゃ曲がるものがあるっぽいです。焼きが入っているもののほうが耐久性が良さそうです。
360°回転タイプを作ろう

さてダイソーに行ったら売ってたのが360°回転できるS字フックです。せっかくなのでこいつも作ってみましょう。

こういうパーツを印刷します。設計も印刷もめっちゃ大変でした。全部で印刷するのに5時間くらいかかりました。

全然ダメ、構造が複雑だからバリがめっちゃ出るし、一応回転はするけどスムーズに回転しないし、胴体がデカすぎるし、ダメでしかありません。やっぱこういうのは市販品を買うに限ります。

分解すると中はこうなっています。なるほどなあ、溝を2つ彫ることで安定性と回転のなめらかさを両立させているみたいです。我が家の3Dプリンタはあんまり精巧なものは作れないので、こういうのを真似するのはとても難しいです。
S字フックはギリ作れるけど
てことで普通のS字フックは作ろうと思えば作れることがわかりました。でも見た目は市販品のほうが絶対良いし、材料代と電気代だけ考えても多分買ってきたほうが安いし、金属製のほうが耐荷重性や耐久性が良さそうなので、DIYする意味はあんまないかなあと思います。
あと書いてて気づいたんですが、一般家庭でS字フックってそんなに使わない気もします。S字フック足りなくなる問題はおれの部屋特有の問題なのかもしれません。多分そうです。意味わからん記事書いてすまんかった。

でも量産しちゃいます。やっぱしS字フックは我が家に全然足りてないんですよね。家に20個くらいあるけどまだまだ必要です。とりあえず4個生産しました。
材料代を計算したら4個で52円くらいでした。ダイソーだとプラ製は大体10個108円くらいなので、値段ではギリ負けています。あれを10個100円で売れるのってヤバすぎませんか。
S字フック自作に実益があるかどうかは置いといて、身近なものを実際に作ってみるのは超たのしいです。3Dプリンタがある方はぜひやってみてください。3Dプリンタが無い方は3Dプリンタを買ってください。
終わり。
せろりんでした。
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